酒井崇ボールペン画展2012

会期:10月1日(月)〜6日(土) 11:00〜19:00(最終日17時まで)

会場:GALLERY b.TOKYO(京橋) 





「僕が絵を描くことについて」

 かつて、一人で仕事を背負い込んで深夜まで残業する日々が半年くらい続いたことがありました。絵を描く時間も気力も失って、今にして思えば半ばノイ ローゼみたいな状態だったと思うんですが、たまりかねて半泣きで会社に辛いという事を言いました。そうしたら、お前は絵を描いたり展覧会をやったりしてる か ら疲れてるだけだろう。プライベートの疲れを仕事に持ち込むな、と言われました。
 その時、経営者や社会の欺瞞云々より、僕の絵に対する潔癖な想いが汚されたような気がして心底腹が立って「全然違います。まったく逆です。絵があるから こんな仕事だって続けてこられたんです。」と言い返しました。

 多分今でも、僕が痛いところを突かれて逆上したくらいに思われているかも知れませんし、真意が伝わったとは思いません。でも、誰が悪いとも思いません。 僕 はとても絵に救われてきたと感じていますが、それは美談でも何でもなくて、ただそれ以外どうしようもなかっただけのことです。
 だから、自分はおそらく画家として真剣に絵に向き合っている方だとは思っていません。絵を描いていると心が穏やかになったり、いろんな事がクリアに見え たり、楽しい考えが浮かんで来たり、そういうのが必要なだけなんです。絵を描く事からしか始められないんですね。

 十数年絵を描いて来ました。最近思うのは、僕のやり方では自分の身の丈以上の絵は出て来ないということです。そしてそれは悪い事だとは思いません。不思 議なもので、たまに絵の方がすっと先に伸びてくれて、自分が後追いで伸びていけることがあるからです。
 僕に会うつもりで絵を観に来て下さい。良いも悪いもひっくるめて、だいたいの今の僕みたいな絵が並んでいると思います。



 ちなみにその一件の後は、なんだかんだで会社も気を使ってくれるようになり、僕もかなり要領が良くなったので、今では人間らしい日々を送っています。

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※開催、無事終了いたしました。ご来場くださった皆様ありがとうございました。
 展示の様子は こちら